「わからないです 吉田さん」に、まさかの沼!

恋愛

なんか気になっちゃうんだよね、吉田さんのこと

正直なところ、この『わからないです 吉田さん』というタイトルを最初に見た時、「え、何がわからないの? 読者に丸投げ?」って思わずツッコミ入れたくなりました。いや、本当に。でも、そういうちょっとした引っかかりって、意外と心に残るもんでしょ? 高橋脩先生の作品ってことで、絵柄は安定して好みだったから、まあ読んでみるか、くらいの軽い気持ちで手を出してみたわけです。そしたらどうよ、まんまと吉田さんの沼にハマっちゃったんだから、人間って不思議だよね。

この物語の面白いところは、まさに「わからない」を徹底的に描いてるところにあると思います。主人公が吉田さんのことを好きになるんだけど、その吉田さんが何を考えてるのか、どういう人なのか、全然掴めない。もう、これがね、読んでて「あ〜〜〜〜〜わかる〜〜〜〜〜!」って叫びたくなるのよ。だってさ、現実の恋愛って、相手の気持ちが100%わかることなんてまずないじゃん? 「今、これ言っちゃって大丈夫だったかな?」とか「この笑顔、どんな意味があるんだろ?」とか、そういうモヤモヤの連続でしょ。この漫画は、その「わからない」って感覚を、すごくリアルに切り取ってるんだなって感じました。

吉田さん本人がめちゃくちゃミステリアスなキャラとして描かれてるんだけど、それがまた憎いんだよね。無表情なようで、たまに見せる笑顔とか、ちょっとした仕草に、読み手も主人公と一緒に「今の、どういう意味!?」って深読みしちゃう。高橋脩先生の絵って、キャラクターの表情が言葉以上に語る部分があるから、余計にそう感じるのかもしれない。特に吉田さんの瞳の奥に宿る、なんていうか、掴みどころのない光がね、もう堪らないんです。個人的には、あの瞳、もっとアップで見たかったなって思うシーンも結構あったな。

主人公の葛藤もまた、めちゃくちゃ共感できました。好きな相手が何を考えてるか分からないからこそ、色々な想像をして、一喜一憂して、勝手に落ち込んで、また小さな希望を見つけたり。その心の動きが、もう手に取るように伝わってくるんです。私自身も「いやいや、そこはもうちょっとグイっといっちゃえよ!」とか「いや待て、今は引くべきだ!」とか、読みながら主人公にアドバイス送りまくりでしたもん。口語的な独り言が止まらない。そういう意味では、この作品、私にとっての「参加型恋愛漫画」だったのかもしれない。読者も一緒に、吉田さんの「わからない」に立ち向かう、みたいなね。

恋愛漫画って、どうしてもハッピーエンド一直線になりがちじゃないですか。もちろん、それも楽しいんだけど、この『わからないです 吉田さん』は、なんかこう、終始ヒリヒリするというか、予測できない展開が多いから、ページをめくる手が止まらないんです。次のページで、吉田さんがどんな顔をするのか、どんな言葉を発するのか、いや、そもそも発してくれるのか、っていうね。そのワクワク感が、この作品の大きな魅力の一つだと感じました。

「わからない」が導く、リアルな関係性の追求

この漫画を読んでて、改めて考えさせられたのは、人間関係、特に恋愛における「わからなさ」って、決してネガティブなだけじゃないんだな、ってこと。もちろん、全部わかったら楽だろうな、って思う瞬間もたくさんあるけど、でも、その「わからない」があるからこそ、相手をもっと知りたいって思うし、理解しようと努力する。そして、たまにほんの少しだけ相手の気持ちが「わかった」気がした時の喜びって、計り知れないじゃないですか。そういう、人間関係の奥深さを、吉田さんの「わからない」を通して描いてるんだなぁって、しみじみ感じ入りました。

ただ、ちょっとだけ惜しかったな、と思う点もあって。それは、吉田さんサイドからの視点が、もう少し欲しかったな、ということ。もちろん、主人公の視点だからこそ「わからない」というテーマが際立ってるのはわかるんですよ。そこが肝心なのは承知の上なんだけど、読み進めるうちに「いや、吉田さんもきっと何か思ってるはず…!」っていう気持ちがむくむく湧いてきてしまって。たまーに、吉田さんの過去の断片とか、彼が何を考えているのかを示すような描写がチラッとでもあれば、さらに物語に深みが出たんじゃないかな、なんて、勝手に期待しちゃいました。まあ、そこをあえて見せないのが高橋脩先生の演出の妙、って言われたらそれまでなんですけどね。

でも、だからこそ、読み終わった後に「吉田さんって、結局どういう人だったんだろ?」って、考えさせられる余白があるとも言える。私自身、読み終わってからもしばらく、吉田さんのことについてあれこれ考察しちゃいましたからね。「もしかして、こういうことだったのかな?」「あの時の行動って、もしかしたら…?」みたいな。そういう風に、読後にも作品の世界観に浸れるって、すごいことだと思います。

この漫画は、ただ甘いだけの恋愛を描いてるわけじゃない。人と人が心を通わせることの難しさ、そしてそこにある尊さを、丁寧に、そしてちょっとだけ切なく描いてるな、というのが正直な感想です。個人的には、恋愛ってこういうものだよな、ってすごく納得感がありました。完璧な理解なんてないし、常に相手の心を完全に読み解けるわけじゃない。それでも、人は惹かれ合い、寄り添おうとする。その複雑な機微が、高橋脩先生の筆致で本当にリアルに表現されていました。

「わからない」を楽しむ恋愛漫画

最終的に、私がこの『わからないです 吉田さん』から受け取ったのは、「わからない」という感情そのものを楽しむ、という新しい視点でした。わからないからこそ、想像が膨らむ。わからないからこそ、相手を追いかける。そして、ほんの少しだけ「わかった」時の喜びが、より一層際立つ。これって、恋愛だけじゃなくて、人生の色々なことにも通じる話だなって思いました。

この作品を読んだ後、友人との会話で「わかる〜」って言うのが、前よりもちょっと重みを持つようになった気がする。表面的な理解じゃなくて、相手の心の奥底にまで想いを馳せるような、そんな感覚。高橋脩先生の描く、表情の乏しい吉田さんだけど、その奥にある感情を読み取ろうとすることで、自分自身の感情も豊かになる、というか。そういう意味で、すごく示唆に富んだ作品だったな、と私は思っています。

悪くないどころか、私の中ではかなり上位に食い込む恋愛漫画でした。完璧じゃないからこそ、心に残る。全部が説明されないからこそ、ずっと考えてしまう。そんな余韻がたまらない一冊です。恋愛の奥深さを知りたい人には、ぜひ手に取ってみてほしい。ただし、吉田さんの「わからない」に戸惑わない覚悟は必要かもしれませんね。私もいまだに、吉田さんのこと、完全に「わかった」とは言い切れないから。でも、それでいいんだ、って今は思ってます。

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