「手札が多めのビクトリア」って、まさかの深すぎる手札だった!
いやー、正直ね、「手札が多めのビクトリア」っていうタイトル見た時、「また流行りの追放系でしょ?」って思ったんですよ、私。でも、作者が牛野こも先生って知って、「これは何かあるぞ…!」って直感したんです。結果? ええ、見事に裏切られました。良い意味で!
タイトルが示す第一印象と、その愉快な裏切り
まず、タイトルですよね。「手札が多め」。普通だったら、最初は隠してて、ここぞという時に切り札を出す、みたいな展開を想像しません? でもこの作品の主人公ビクトリア、手札が多いどころか、最初から全部オープンにしてるかのような勢いなんです。いや、オープンにしてる自覚すらない、というか。周りから見たらとんでもないことやってるのに、本人は「え、これ普通じゃないんですか?」みたいな顔してるんですよ。この、周りとの圧倒的な認識のズレが、もう最初からツボでした。
物語の導入も、よくあるパターンを逆手に取ってる感じ。追放されるんですけど、本人は全然悲壮感がない。むしろ「やっと自由だー!」くらいのノリで辺境の地に赴くんです。いや、普通そこは落ち込むところじゃない?って突っ込みたくなるところを、あっけらかんと切り抜けていくビクトリア。この飄々とした感じが、読んでて最高に気持ちいいんですよ。なんていうか、ストレスフリー。普通ならイライラする展開も、彼女がサクッと解決しちゃうから、ずっと「次は何をやらかしてくれるんだ?」ってワクワクしながらページをめくれるんです。
ビクトリアの隠し札(というより本性)が最高に面白い
ビクトリアが持ってる「手札」っていうのは、もう魔法、錬金術、薬学、剣術、古代文字の知識、果ては超絶的なカリスマ性まで、オールジャンルなんです。これ、普通ならチートキャラって言われるところなんですけど、彼女の場合は「たまたま習得しただけ」「昔からできたから普通だと思ってた」みたいな天然要素が加わるんですよね。だから、嫌味がない。むしろ、周りがその常識外れな能力に驚愕するたびに、こっちまで「だよねー!」って共感しちゃうんです。
この子がすごいのは、隠そうとしてるわけじゃないのに、結果的に「隠し持っていた」みたいに見えちゃうところ。例えば、ちょっとした病気の村人を助けるつもりが、実は古代魔法の秘薬を調合しちゃってるとか。森の魔物を退治するのに、とんでもない威力の魔法を無詠唱でぶっ放して、周囲の騎士たちが「え、あれって伝説級の魔法じゃ…!?」ってドン引きしてるとか。このギャップが本当に面白くて、読んでる間ずっと口角上がりっぱなしでした。私、この手の勘違いコメディ系、結構好きなんですけど、これはその中でもかなり上位に入る。「まさかそう来るとは!」みたいな展開が多くて、飽きさせない作りが本当に上手いな、と。
物語を動かす周囲の反応と、テンポの良い展開
ビクトリアの周りには、彼女の規格外っぷりに翻弄される人々がたくさん出てくるんですけど、彼らの反応がまた秀逸なんです。最初は訝しんだり、警戒したりするんだけど、最終的には「ビクトリア様すごすぎる…!」って心酔しちゃう。このプロセスが丁寧に描かれてるから、単なるご都合主義には見えないんですよね。それに、彼女自身も別に人から崇められたいわけじゃなくて、ただ自分のやりたいことをやってるだけ、っていうのがまた好感持てるんです。
物語のテンポもすごく良くて、一つのエピソードがダラダラ長く続くことがあまりない。問題が起きて、ビクトリアが手札を披露して、周りが驚いて、次の問題へ…っていうサイクルが絶妙なんです。だから、読む手が止まらない。正直、夜更かしして一気に読んでしまったことも何度かありましたね。あっという間に最新刊まで追いついちゃった。このサクサク進む感じは、忙しい現代人にはありがたい。サクッと読めて、でも読み応えもあるっていう、絶妙なバランスだと思いました。
ファンタジーとしての世界観と、個人的に惜しかった点
ファンタジーとしての世界観も、しっかり作り込まれてる印象を受けました。魔法の種類や歴史、登場する魔物や種族など、随所にその片鱗が散りばめられています。ただ、ビクトリアの能力が強すぎるからか、世界そのものの危機感みたいなものは、そこまで強く感じなかったかな。そこは、この作品がコメディ寄りのファンタジーであることの裏返しとも言えますが、個人的にはもう少し「世界の裏側で何かが進行している」みたいな、骨太な展開があっても面白かったかもしれない、とは正直思いました。いや、これでも十分面白いんですけどね。あくまで、私の勝手な期待です。
あとは、元々ビクトリアを追放した実家や王国サイドの描写が、正直ちょっと物足りなかったかな、と。ビクトリアが強すぎるせいで、彼らが「愚かだった!」と後悔するシーンなんかも、ちょっとあっさりしすぎてるように感じてしまって。もう少し、彼らが何に気づき、どう後悔していくのか、心理描写が深く描かれていたら、物語の深みが増したような気もします。でも、それはこの作品の軽快なテンポ感を損なうかもしれないので、あえて抑えたのかもしれない。というか、全部を網羅するのは難しいですよね。だから、この「悪くないけど、もう少し欲しかった」っていう中間温度の感想は、本当に個人的な意見として聞いてください。
総評:手札の多さは、やっぱり正義だ!
色々と書きましたが、「手札が多めのビクトリア」は、期待を良い意味で裏切ってくれる、本当に楽しいファンタジー漫画でした。主人公ビクトリアの底なしの能力と、それを本人が無自覚で発揮してしまうギャップ、そして周りの人間たちのコミカルな反応。これらが三位一体となって、読む人を笑顔にしてくれること間違いなしです。この作品を読んで、「やっぱり最強主人公って、正義だよな!」って改めて思いましたもん。だって、見てて気持ちいいじゃないですか。ストレスなく読めるって、本当に素晴らしいことだと実感しました。
日常のちょっとした疲れを吹き飛ばしたい時や、何も考えずにスカッと笑いたい時に読むと、最高に気分転換になると思います。個人的には、この作品は読む薬みたいな存在。嫌なことがあっても、ビクトリアの活躍を見れば「ま、いっか!」って思える。そんなパワーを秘めています。手札が多すぎるって、まさに最強の証。皆さんも、このビクトリアの多すぎる手札に、一度触れてみてはいかがでしょうか?
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